Yan Lauria によって開始されたディスカッション

仮想空間を利用した教育

教育関係について少し突っ込んだ話。欧米で仮想空間を利用した教育についてのジャーナルがいくつもあり、今でも論文が投稿されている。それには3つ理由がありそうだ。

一つ目は教育環境の格差が大きい地域の問題。SLを用いることによって、教育機会を得ることが困難な地域の生徒(あるいは長期入院中の子供)と、自宅から授業を行える教師を結び付けようというもの。

二つ目は、直接的な対人関係を持つことが難しい症状の子供に、アバターを通じて社会参加の訓練をさせようというもの。これぞコミュニティを持つSLならではの取組みだが、匿名の高さゆえの不道徳な人間によるリスクも大きい。もともと人間の中にはある割合でモラルの低い人間が出現する。通常は社会的監視下での制裁又は軽蔑を恐れて自制するが、大都市やネット社会のように社会的監視ができないところで悪いことをする。そこでOpenSim GridあるいはUSBスティックの仮想空間を使おうという特殊教育の先生もいた。

三つ目は新しい教育理念の実験の場である。受験勉強のようなマスプロ教育はどうあがいてもこんなに手間がかかり、スキルが必要な仮想空間でできるわけはない。ConstructivismとSTEAMという2つの教育理論で特に注目されている。

(Constructivism)

教育におけるConstructivism(構成主義)とは、「子供たちがある対象について、彼ら自身による(それぞれ違った)理解を組み立てるようなかたちで教育すべきである、あるいは子供たちの中に既に存在している概念を前提に授業を組み立てる必要がある(ウィキペディア)」というもの。そこでは学習者は世界と積極的に関わりを持ち、近くを総動員して思考を深めようとする。また、対人的なコミュニケーションとともに自己内コミュニケーション過程を通して、社会に参加していくことそのものが学習であるとする。

これではまだ仮想空間との関係が見えないかもしれない。これまでの教育法とどこが違うかと言うと、① 能動的に勉強できること、② 勉強に目的と意味があること、③ インターネットなど知識を提供する不道具を使う、④ 学習者が成果物を作り、みんなにプレゼンする、⑤ 他の人々とインタラクションを行う、⑥ 先生は支援役。

これって教室で教科書を開いていただけではぜったいにできない。例えば、15人ぐらいの生徒にパソコンを使ってもらってInternational Spaceflight Museumに放り込んで探検させる。そのうち誰かが国際宇宙ステーションまで行くスペースシャトル・ライドを見つけるかもしれない。それだけで①~⑥の半分は教室に居ながらにして達成できるだろう。しかも宇宙からの視点を身に着けてくれるかもしれない。

ちなみに、JOGのサポートサイトに使われているMoodleは、①~⑥の機能を考えてデザインされているだそうだ。

実は、日本の理科教育には以前からConstructivismが取り入れられており、今の学習指導要領でも学習者の主体的で協働的な学びへの転換を図るアクティブ・ラーニング、ディープ・ラーニングの実現を求めている。ところが「教師は教わってきたようにしか教えられない」とよく言われるそうで、実際には大変らしい。

参考:http://www.shitennoji.ac.jp/ibu/wp/wp-content/uploads/2015/11/kiyo60-15.pdf

(STEAM教育)

一方、STEAM教育というのは、STEM教育、すなわちScience, Technology, Engineering, Mathematicsという理系教育とArt教育を融合させたものだ。Artを人文学に置き換えるとよくわかる。ジュール・ヴェルヌとアポロ計画のように、また小松左京と地震研究・深海潜水調査船開発のように、SFは科学にイマジネーションを与え、科学はSFにインスピレーションを与えてきた。

しかしSTEAM教育の提唱者であるGeorgette Yakmanは違った発想だったかもしれない。STEAM = Science & Technology interpreted through Engineering & the Art, all based in Mathematical elements. と定義していて、人文学を科学技術を理解する道具と位置づけている。Women in Scienceの文脈で語られることも多く、人気のない理系教育をビジュアルにして面白くしようというところから始まったようで、STEMとArtが相互作用していないように思える。

私としてはデザインセンスのあるエンジニアを産業界が求めていることからも、美的センスあるいはイメージのリテラシー(読貝力)を磨くことにもっと力点を置いてもよいと思う。言語や数学とは異なる「イメージの文法」を学んで鍛えれば、科学技術ともっと相互作用できるようになるのではと思う。とはいえ、教育の現場でアートを教えられる先生はなかなかいないだろう。文系の人の感性を理系教育に取り入れて面白くするというのが精一杯なのかもしれない。

で、もう言うまでもないと思うが、豊かで多様なイメージに溢れた仮想空間がこれからのSTEAM教育に活用されてもよさそうだ。

(教員養成プログラム)

ということで、仮想空間がConstructivism教育やSTEAM教育に活用されるように、仮想空間を教育に活用するための教員養成プログラムに取り組んでいたサンフランシスコ大学ほかの研究者と協力した。

まずは、SL内の自然科学~社会科学~人文学の教育リソースとなるシムへのテレポートハブ、Education Portal(一つ目の画像)をScienceCircle Foundationが運営するシムに設置している。またJOGのアビスにもOpenSim GridのHyperGridテレポートハブを置いている。

次に、学校の先生に仮想空間の魅力を知ってもらい、必要なスキルを学んでもらえるチュートリアル施設、Teacher Training Tower(二つ目の画像)を作った。

さらに、これらSLとOpenSimを使った Lesson Plan Database について、これまであったものはとっくの昔にアップデートされなくなっているので、これも新たに自分で作った(三つ目の画像)。

(いよいよ最終回につづく)

 

SLの悪評と、その後のネグレクトとの戦い

バーチャル博物館が博物館・美術館である限りは、SLやOpenSimの中だけでなく、RLでの評価と無関係でよいとは言えないだろう。

SLの(かつての)悪評はそもそもSLの人口密度が極めて低いことを無視して企業ビジネスの場として勝手に煽り立てた電通その他が悪いのであって、それでもって個人レベルでは多彩かつ創造的な活動が生み出されつつある事実を否定されてよい訳がない。しかし国内では企業ビジネスに載らないものはマスメディアで取り上げられない。つまりそれが今のネグレクト状態である。

そこでSL/OpenSimの住民に何ができるかを考えてみよう。

(ウィキペディアとの戦い)

https://ja.wikipedia.org/wiki/Second_Life

Second Lifeで検索すると、公式サイトの次にこのウィキペディアが出てくる。以前は非難中傷だらけだった。それではダメだと思って、2014年にそんくす内にウィキ編集コミュを設け、大勢の方の助けを借りて大幅な改訂作業を行った。すると、少ししたら、独自研究が多すぎと、ばっさり削られてしまった(コメントアウトされた)。

特に個人ブログを出典としている部分は軒並み削られた。SLは企業が撤退しでメディアが取り上げなくなり、個人ベースの世界になっているので、個人ブログを出典にできないのは痛い。その無力感は半端じゃなかった。ただし、よく考えてみたら、なにはともかく、非難中傷部分の削除という悲願は叶ったわけだ。

公的なウェブサイトを出典にしないと認めてもらえないので、Fumi先生に頼んで、jogrid.netの下にバーチャル教育とアビス海文台のサイトを作らせてもらった。JVWRにアクセプトされた論文の引用はOKだったし、外国のウェブマガジン(もはや国内でウェブマガジンは存在しない)なども出典にしてよかった。そうしながらコメントアウトされた箇所を少しずつ復活していったものの、頑張る気力が尽きてしまった。

そうこうしているうちに、コメントアウトした人がかなりの部分を復活してくれていた。助けてくれる人もいるんだなと思った。削除された箇所として、詳細すぎる記述は百科事典として相応しくないとされた箇所も多い。これは確かにウィキペディアに書くべきではなくて、本来はもっとSL/OpenSimに近いどこかで書くべきことであろう。

今のウィキペディアは単に振り出し戻しただけである。企業ビジネスの場ではないが、個人レベルでは実に多彩かつ創造的な活動が継続されていることを個人ブログに頼らずに証拠立てて記述することが必要と思うし、それはできないことではないと思う。

その一つはSecond Life Wikiである。実を言うと、このたいていのページはSLのアカウントとPWで書き換えることができる。たしか書き換えられないページもあったと思うが・・・。だから詳細情報は自分たちでSecond Life Wikiを書き換えればよい。少なくとも教育関係のページ

http://wiki.secondlife.com/wiki/Second_Life_Education/Resources

は書き換えることが出来るし、実際、私は大幅に加筆したし、そのことを管理者か誰かから感謝された。

もしそれが基本的で重要なことなら、そのWikiを出典にしてウィキペディアを書き換えることだってできるだろう。あるいは、Fumi先生のjogrid.netの下のページを利用してもよい。

 (つづく)

この製作メモ、この3連休で片をつけようとしているんでが、書きたいことをなかなかまとめられません。まとめやすい部分を先に投稿しちゃうことにします。

製作メモ(その9)で情報の拡散又はコミュニティ作りについて書きましたが、その補足です。

(研究コミュニティ)

仮想空間を利用した教育・博物館・美術館の研究者と繋がれないか試みた。国内にHumi先生の研究室と、もしかしたら立命館大学と大阪工業大学にも生き残っているところがあるかもしれないが、基本的に海外勢を相手とせざるをえない。結論としては以下のどれも長短あるが、ResearchGateとORCIDの組み合わせがベストかな。

LinkedIn:これは求人サイトかな? 研究とは関係ないところからやたらと繋がりを求めてくる。成果物を見せる機能が弱いが、研究者、クリエータほかいろんな分野の人が登録していて、むしろFBのようにこまめに情報発信するブログ/SNS的な使い方かも。どうもよく分からないが、私はこまめな情報発信に弱いので使っていない。

例:https://www.linkedin.com/in/hajime-nishimura-16417a3b/(もしかするとログインが必要かも。以下同じ)

ResearchGate:関係しそうな研究者や論文を探せるほか、ジャーナルに投稿した論文だけでなく、見学会のチャットログなどpdf化したものならなんでもアップして登録できる。しかもアップしたPDFにDOI(デジタル識別子)を付けてくれるのはありがたい。

例:https://www.researchgate.net/profile/Hajime_Nishimura/contributions

 不思議なことに、ジャーナルに投稿した論文でもプレプリント版をアップすればもっと分析して有益な情報を提供できると言ってくる。それがいいことなのかよく分からない。問題ない気もするし、問題があると言ってる人もいる。

ACADEMIA:ResearchGateと同様に論文登録やPDFのアップが可能なだけでなく、ウェブサイトやブログ、グーグル共有文書でさえも業績として登録できる貴重なもの。そこんところはいいが、その後、プレミア会員にならないと自分の成果物へのアクセス状況を知ることができなくなり、ありがたみが減った。とにかくACADEMIAを使っている研究者もるので、成果の登録場所として使えばよい。

例:https://jamstec.academia.edu/HajimeNishimura

ORCID:これはコミュニティではなく、個人IDを付けてくれるサービス。どういう意味かと言うと、私の場合、ローマ字で同名のバイオ研究者が大量に論文を出していて識別できない。そういう識別サービス。研究者でなくてもIDが取得できるのがありがたい。論文にならない業績も評価されるようにするため、いずれ必須となる仕組み。Googleはgmailで解決するつもりらしいが、Googleにそこまで支配されたくない。

このORCIDには論文、ウェブサイト・ブログのほか、出版物も登録できる。PDFのアップロードはできないので、ResearchGateや自分のウェブサーバにアップしておいて、そのURLを登録すればよい。つまり、業績公開では最強のもの。また、複数のメアドを登録でき、そのうち公開メアドはいつでも捨てられるメアドにしておける。つまり自分に関心のある人に連絡手段を公開する手段ともなる。

例:https://orcid.org/0000-0001-8639-1927

(ジャーナル)

Journal of Virtual World Research (JVWR):海外では仮想空間を利用した教育についてのジャーナルがいくつもあるのには驚かされる。このうちJVWRは仮想空間専用のジャーナルであり、投稿論文がフリーで公開されているので、有料ジャーナルと比べて参照されやすい。査読あり、DOIも付く。国際ジャーナルに論文が査読付きでアクセプトされると、やはり一味違ってくる。

https://jvwresearch.org/

自分単独で論文にするのはなかなか大変なので、あとで話すように同じ博物館仲間や利用してくれる教育者との協力が大切。英文作成でも助けてもらえる。仮想空間でのものづくりへのこだわりの点で日本人クリエータは海外勢を上回っているで、気後れする必要はない。JVWRに載せたアビスの論文はジャーナルの表紙まで飾ってもらえたし、のちに他の論文に引用してもらえるようにもなった。研究者がなぜ論文書きに血道を上げるかがよくわかった。

https://journals.tdl.org/jvwr/index.php/jvwr/article/view/6304/6036

国内ではバーチャルリアリティ学会、可視化情報学会、情報メディア学会があるものの、2010年以降はほとんど見当たらないので、今投稿して載せてくれるかわからない。

(YouTubeの補足)

これは研究コミュニティというよりは一般向けの発信。製作メモ(その9)に書き忘れたことを補足すると、WindLightの具体的設定方法は以下の2つのSSをどうぞ。2つ目のSSのHaze HorizonからMazimum Altitudeまでのスライダックを闇雲に動かし、空が青く、かつ、遠方がもやるようにし、名前をつけて保存する。そうしたら今度は3つと4つ目のSSのとおり「自然環境の設定」を開き、「常に区画/環境の設定をしよう」のチェックを外し、自然環境をカスタマイズを選び、空の設定で「空の固定」を選択すると、保存した設定を選ぶことができる。

ちなみに、JOGでは自分のシムのWindLightは自分でカスタマイズできなかったんでしたっけ?

あと、YouTubeのアップの仕方について、長すぎてはいけないのでシーン毎にアップし、再生リストでまとめるようにするとよい。

例:

再生リストもいろいろ増えてきたら、チャンネルセッションでまとめることもできる。

例:https://www.youtube.com/user/ChikyuToUmi/playlists?shelf_id=2&sort=dd&view=50

チャンネルセッションのまとめ方は分かりにくい。YouTubeにログイン後、左上のメニューのライブラリを選び、必ず自分のチャンネル名の下のメニューバーのHOMEをクリックしてから青い「CHANNEL CASTAMIZE」をクリック。順序は逆でもよいがとにかく「HOME」にしておくこと。そうすればあとは”YouTube”と”チャンネルセクション”で検索すると、セクションの作り方が見つかる。

 (つづく)

パネル展示を考える

博物館のキュレーションの最も簡単なものとして、パネル展示を考えてみよう。製作メモ(その12)で「イメージを四角いフレームで切り取ってみよう。」に書いたように、パネル展示は仮想空間でも博物館・美術館で最もよく見かける。実際、SLには額を壁に飾っただけのアートギャラリーが実に多い。

現実世界の美術館でも展示されているのは絵画だけでなく彫刻もあるし、博物館では模型やはく製(3D)と説明パネル(2D)が混在している。製作メモ(その4)では、バーチャル博物館はフィールドそのものを博物館にしてしまうとも書いた。だから仮想空間でパネル展示のみの博物館を作るというのはある意味敗北なのだろうか?

3D空間なのにパネル展示が多いのは、1プリムで1テクスをアップすればできてしまう手軽さ以外に、もしかすると人間はイメージを捉えるインタフェースとして額縁や窓やモニターが一番馴染んでいるのかもしれない。例えば、ボロックの絵は床に置いてペンキを垂らしているくせに、やはり壁に飾りたいらしい。現実世界では、絵を壁に飾れば、鼻がくっつく一歩手前まで接近できるし、すると小さな絵でも展示できる利点もあるだろう。

一方、案内矢印やエリアの名称などは、仮想空間ではむしろ床に表示する方が確実に見付けてもらえる。現実世界の博物館のように、エリアの名称を天井近くに表示したいところだが、仮想空間ではそうすると、近づくにつれて視界の外になってしまう。そういう点では、床表示をもっと活用してもよいと思う(最初のSS。床置き表示の例)

(展示空間)

現実にありそうな建物の中に展示するのは私はお勧めしない。例えば絵画がルネサンス時代のものならルネサンス時代の建物の中に飾るというのは、もっともらしい着想ではあるが・・・。

ただ少なくともパネルを飾る壁があった方がよさそうだ。それは背景を遮断して絵の世界に没入できるうようにするためだ。絵の色彩が影響されないように、壁はまぶしくない程度の白がいいのかもしれない。

問題は壁のどの高さに絵画を展示するかだ。SL内の美術館はどうやらキュレーターがイラストレーターなのか、おそらく通常のHDモニタ(1920x1080)よりも縦方向が大きい1600x1200のモニタを使っているのではないだろうか(もとちゃさんがそうだった)。それで作られた展示は、訪問者からすると、飛行モードにするかカメラを上に振らないと全部が見えないことになる。これは気をつけた方がいい。

通路とフロアをどうするかはキュレーションそのものである。ここは機能(関連付け)を優先して(モダニズム建築)、その場で自由に配置していけば、思わぬ機能美が生まれてくるかもしれない(製作メモ(その4)(その12)(その13)を参照)

ズームアウトすると展示の全体が見える方がよいと私は思っている。仮想空間は視野が狭く、方向感覚も悪い。天井も壁も外側からは透明又は半透明にし、ズームアウトすれば全体を見渡せるほうがよいと私は思っているが、美術の専門家の中には戸惑う人もいるかもしれない。

(パネルのサイズ)

絵のサイズは現実世界(の1.5倍?)に合わせるのも一つの考え方だが、どうもそれでは見る方が大変な場合もある。私は絵の中の人物のサイズがアバターとバランスするサイズがよいと思っている。現実には非常に小さな絵が数多くある。これは盆栽とかミニチュアとか人間が興味を持つ対象ならいくらでも顔を近づけられるからだ。ところが仮想空間ではモニタ越しなので、大きくしちゃってもいいように思う。

一方、現実の美術館に飾られている巨大な絵、壁画、これは作品が人間の視野の大部分を占めると、突然、頭の中の没入感スイッチが入る。これを仮想空間でも実現できればよいが、やろうとしてもHDモニターを越えられない。所詮、モニタの縦1080に収めなきゃ見れないので、実物大(の1.5倍?)にすると、展示空間との関係でデカすぎる場合もある。やはりそこに登場する中心人物とアバターをバランスさせる考え方で私はいいと思っている。

(テクスの解像度)

製作メモ(その2)で、説明パネルは512x512、スナップショットは512x256でもよいと書いたが、絵画は1024x1024は必須である。大きな横長の絵画は1024x1024を2枚にしてもよい。というのは、絵画は実世界では人はいくらでも近づける。筆のタッチまで確認しようとする。

画像をアップする際には、元の画像が例えば960x640 だと、アップしたら512x512に縮小してしまうので、あらかじめペイントソフトで1024x512に拡大しておいてからアップしないといけない。640をわざわざ1024まで拡大する必要はないが、720とかだったら1024に拡大した方がいいと思う。

その際、やはり製作メモ(その2)で書いたように png-24 の透明なしにする。どんな形式であろうとアップすれば JPEG 2000 に変換されるはずなのに、なぜpng-24でないといけないのか分かる人がいたら教えてください。

(照明)

例えば彫刻をフルブライトにすると訳が分からなくなるから、夜間のために光源を置くしかない。ただし仮想空間に置ける光源には限りがあり、太陽と月以外に6つまでである(たぶん視認範囲内で)。だから彫刻は光源が必要だが、絵画はフルブライトにするしかない。何もかも理想通りにはできない。

(Wiki画像)

WikiMedia(Wikipepediaの共有画像)やWikiArtのフリー画像を使えば、共有メディア(Web on a Prim)機能で表示したものをキュレーティングするだけで博物館ができる。日本人は印象派が好きだが、それよりも後の世代のミュシャ、ホドラー、クリムト、エゴン・シーレもたっぷり使える。

(YouTube)

またYouTubeを使えば音楽やダンスなどのパフォーミングアートですら展示できる。ただし。繰り返し表示してると音がうるさいので、Webを自動再生する距離だけ離すか、それともタッチしたら開始する方式にすればいいだろう。

例えば、http://www.youtube.com/watch?v=WabT1L-nN-E を例にすると、エンドレスにリピートする動画にするなら

https://www.youtube.com/embed/WabT1L-nN-E?autoplay=1&loop=1&playlist=WabT1L-nN-E

とする。playlistでWabT1L-nN-Eを再指定しているのは何かの間違いのように見えるが、そういう仕様らしい。YouTubeの複数再生の音楽がうるさい場合は、タッチで再生して一回きりの

https://www.youtube.com/embed/WabT1L-nN-E?rel=0

とすればよい。

(球体表示)

パネル展示ではないが、ついでに球体にテクスやYouTubeを表示する方法について製作メモ(その14)で言い忘れたことを補足する。

球面表示向けのコンテンツを見つけるのが大変。縦横比が1:2の「正距円筒図法」(Equirectangular projection/ Cylindrical Map)で描かれたものを見つけてこなけれないけない。ところがYouTubeではご親切にも正射図法(orthographic projection)やモルデワイズ図法(Mollweide projection)でアップされていることが多くて球面に貼れない。正距円筒図法かどうかを見分けるのは、単にきっちり1:2になっているかを確かめればよい。

静止画であれば地球だけでなく他の惑星も手に入る。

火星:https://marsoweb.nas.nasa.gov/globalData/

木星:http://www.sci-news.com/astronomy/science-global-maps-jupiter-03337.html

土星:https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA07782

最近流行りの360度カメラ画像がこちら。これを内殻に貼るとVR体験みたいな感じにできる。

https://www.textures.com/browse/hdr-spheres/114552

(表示)

製作メモ(その2)で、絵画のタイトル等の表示はとりあえずフロートテキストでと書いたが、これには泣き所がいっぱいあって、第一に絵画を画面いっぱいに表示したら、フロートテキストはモニタの外で見えない。プリムを90度手前に倒してパネルにすると、絵画の中央にフロートテキストが表示されるので邪魔。

llInstantMessageを使う方法(周辺チャットに表示)は、なぜか視認性の悪い茶色の文字しか選べないのが難点。

画期的に改善してくれそうなのがMasterpoppy AmatによるLSL-Markdown HUDだ。Giverタイプのうち、1:2を選ぶ。

SL内のEdu PortalにあるVW Teacher Training Towerにチュートリアルがあり、Take Copyできる。http://maps.secondlife.com/secondlife/The%20Science%20Circle/182/45/89

二つ目のSSがそのチュートリアル。Markdownのパネルをクリックすると、右下に「アバターに装着 よろしいですか?」と表示される。Yesを選ぶと、三つ目のSSのように、モニタの右側に説明用HUDが装着される。

この部分にYouTube動画を埋め込んだり、SLURLでTPしたりできる。これを利用して、パネル展示しているシムから関連する別のシムにTPし、元に戻るという、Inter-Region Navigation Systemにもなる。

製作メモ(その12)で言葉に頼りすぎず、なるべくイメージだけで伝わるようにと書いたが、そもそもイメージは口下手なので、どうしても文字で補う必要が出てくる。タイトル表示や説明表示のためにいちいち裏作業でテクスを作成するのは煩わしいが、Markdownならすべてインワールドで作成可能なのがありがたい。

(つづく)

 

(JOGrid 5周年記念事業-バーチャル博物館製作メモの目次)

どこに何を書いたか分からなくなってきたので、目次を作りました。

バーチャル博物館製作メモ(その1)

 視野と方向感覚、表示と矢印、ランドマーク的なものと総合案内所

バーチャル博物館製作メモ(その2)

 テクスチャの解像度、png-24と透明なし、フローティングテキスト

バーチャル博物館製作メモ(その3)

 キュレーティング1:植生と藻場

バーチャル博物館製作メモ(その4)

 統一するもの、建築デザイン、モダニズム建築

バーチャル博物館製作メモ(その5)

 タッチ・オプション、ズーム

バーチャル博物館製作メモ(その6)

 凸状の外殻構造

バーチャル博物館製作メモ(その7)

 キュレーティング2:仮想空間内を物色する

バーチャル博物館製作メモ(その8)

 口伝えの世界、SNSとの連携

バーチャル博物館製作メモ(その9)

 SL内での拡散方法、教育コミュニティ、ウェブ、SNS、YouTube

バーチャル博物館製作メモ(その10)

 ビジターカウンター、リピーターの扱い

バーチャル博物館製作メモ(その11)

 基本プリムの編集テクニック

バーチャル博物館製作メモ(その12)

 キュレーティング3:イメージの文法、言語によらないコミュニケーション

バーチャル博物館製作メモ(その13)

 キュレーティング4:知識を関連付ける、PMEST

バーチャル博物館製作メモ(その14)

 スカイの空と海

バーチャル博物館製作メモ(その15)

 没入感のための6つの方法、環境音