バーチャル博物館製作メモ(その7)

バーチャル博物館製作メモ(その7)

- Yan Lauria の投稿
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とりあえず頭の中が整理されたので、ふたたび思いつくまま順不同で。

物色

(博物館・美術館とは?)

なかにはBryn Ohのように、ひとりでひとつのシムをひとつの芸術作品に創り上げてしまい、しかもそれを次から次へと新しく作り変えてしまうスーパーアーティストもいる。これはたとえ1シムでも美術館というよりも、ひとつのアート作品またはインスタレーションと言うべきだろう。

その対極として、自分の作品を集めたギャラリーがSLには山のようにある。むしろお店というべきであろう。アートギャラリー向けレンタルスペースもある。これはアートのショッピングモールであって、ここまでは美術館とはいわない。

これに対し、SLには定期的に展示を入れ替える企画展専門の美術館もある。これは運営者がアーティストを選別しているところがミソ。それに比べ、日本の実世界では収入確保のために常設スペースを削って企画スペースに多くを裂き、大金を払って人気作品を集めるか、大口美術団体に場所貸ししている美術館が多いが、これはちょっと本来の趣旨から歪んでいるとの意見もある。どこが歪んでいるか・・・?

comet Morigiによると、画商でも美術館でもいい。一人の目利きが自分の美術店または美術館の経営・存続・繁栄を掛けて、まだ知られていない作品を集め、キュレーションして展示する。ある作品がまだ安いうちに仕入れて美術館という付加価値を付けることで、その作品の価値を吊り上げる。このファンクションを担う存在がアーティストを発掘し、食わせ、育てる。

これと比べて、すでに人気の出た作品群の企画展を開いたり、財力のある美術団体に場所貸しする日本の「某」美術館との違いがわかるだろう。前者は新たなアーティストを発掘し食わせていないし、後者は美術団体の経営方針に沿ってアーティストがフィーチャーされる。そのどこが歪んでいるかはさておき・・・。

話を戻すと、博物館・美術館はその運営者が入れ替え制にしろ常設にしろ、来場者を呼べる作品を集めようと不断に努力しているところがミソである。その中に自分の作品があってもよいが、それよりも人を呼べる作品を見つけたら、それに座を譲ることもいとわない。それがアーティストやクリエータに機会を与え、生かし、育てることにもなる。

(なぜ物色するか?)

仮想空間でも同じように考えてみよう。アビスの場合、私はすべてひとりで作ったのは「ちきゅう」だけかもしれない。この船はさまざまな図面に目を通し、建造中から船内のすみずみを歩き回り、その安全性評価を担当していたので、それができたが、多くは自分のアイデアを別のクリエータに形にしてもらったり、スクリプターに動きを与えてもらったものあれば、お店で売られていたりどこかに展示されているものを見つけ、買ったり、クリエータにアビスで展示してくれるようお願いしたものである。

そのうち、既製品の収集ではなく、アビスとのコラボで新たな作品をつくってらえたものある。アビスではリージョンを区画に分けることでリソースを配分することはしない。このクリエータはアビスに新しい多様性と価値を与えてくれると見込んだクリエータには、ただ空いているエリアや高度を教えて、あとはそのクリエータが残りプリムを見ながら作るのに任せる。

任せて失敗したことがあるかというと、そう思う前にシムの移転を迫られるハメになるので、その際に泣く泣く捨て去るか、なにがなんでも存続させるかどうかだけである。

そういう意味で、自分の博物館・美術館を育てていくというのは、仮想空間内を探検したりマーケットプレイスを物色したりすることが不可欠だと思う。

(他人のふんどしで・・・)

しょっちょう人の作品のところに足を運ぶので、ついでにそういう場所へのテレポートハブを作ってしまうと楽だし、これは自分の博物館・美術館のコンテンツの一つにもなりうる。どこのホームページにも「リンク集」というのがあるのと同じだ。

もともとクリエータやシムオーナーは忙しくて出不精の人が多いが、こちらから相手の懐に飛び込んでいると、Serendipity、思わぬ幸運との出会い、に繋がることも多く、そうして得た人間関係にいずれ助けられることにもなる。

(つづく)