バーチャル博物館製作メモ(その13)


Warning: getimagesize(/home/apache/moodledata/filedir/8c/59/8c59daa79fe731b9a7e69f66ae433e4ef62d1f9e): failed to open stream: No such file or directory in /home/apache/moodle-4.1.5+/lib/filestorage/file_system.php on line 418

Warning: getimagesize(/home/apache/moodledata/filedir/b5/e0/b5e09844b753892ed4dade7f6d3f36f213ef448a): failed to open stream: No such file or directory in /home/apache/moodle-4.1.5+/lib/filestorage/file_system.php on line 418

バーチャル博物館製作メモ(その13)

- Yan Lauria の投稿
返信数: 2

キュレーション その2

「バーチャル博物館製作メモ(その3)」では自然環境をキュレーティングする方法を書いた。

一方、博物館として展示物をどうキュレーティングするか? 今回はその話。

(知識を関連付ける)

文章を書く場合、とにかく四苦八苦して文字を当てはめ、書けるところから書いていく。ある程度溜まってきたら、カット&ペーストで順序を代え、改行と段落と章立てし、番号を振る。ここでもうキュレーションの登場だ。ここでインド発祥の図書分類法のコロン分類法を紹介しよう。これには「PMEST」という5つのカテゴリがある。 

  • Pパーソナリティ(personality) (Who?) 
  • Mマター(matter or property)  (What?)
  • Eエナジー(energy)      (HowとWhy?)
  • S空間(space)        (Where)
  • T時間(time)         (When)

上に書き加えたように、5W1Hにもこじつけ可能だが少し違う。

パーソナリティPは人に限らない。「地球」、「エベレスト山」、「F-22ラプター」、「モナリザの微笑み」のような個性のある存在もあれば、扇風機、ジェット機や心臓のように、ある特質を持った存在をひとくくりにしたものもある。

マターMはパーソナリティを構成するパーツや材料や原料や性質やぞ属性だ。マテリアルとしている文献もある。心臓は人間というパーソナリティにとってのマターでもあるし、心臓をパーソナリティとすればその筋肉や弁がマターだ。したがってパーソナリティとマターの関係はいろいろに変化する。

エナジーE技能、活動、操作、過程、作用、性質なんだそうだ。空間Sと時間Tは分かりますね。

つまり、パーソナリティPに着目すると、マターM、エナジーE、空間S、時間TはそのパーソナリティPを説明するための知識(属性)ということになる。

効用1:知識をより完全にしたければ、PMESTを網羅するようにしよう(報告書は5W1Hを踏まえろというのにも通じる。)

ただこれだけでは終わらない。PMESTは注目されやすさに序列があって、PMESTの順に個性のある情報から汎用的で具体的でないものになってくる。ネット検索ではP(例えば「F-22ラプター」)で検索した方がM(例えば「ステルス戦闘機」)やT(例えば「量産機1号がロールアウトした1997年」)よりも絶対にヒットしやすい。

だからなんだっていうかというと、図書館ではたった一冊しかない本をどう分類して並べれば発見されやすいかが一番大事だ。すべての書物にはPもMもEもSもTも含まれているのは普通だが、Pに注目して並べてしまえ、百科事典の見出し語にするならパーソナリティにしろというもの。じゃ、歴史Tや地理Sや物理法則Eの本はどうするかというと、特定のPに特化されていないものは、ただでさえ発見されにくいので、図書館の一番目立つところに置けと言ってる。特定のパーソナリティに関する本は図書館の隅っこに置こうと、探したい人は隅から隅まで探し回れば、ちゃんと探し出せるだろうというもの。

効用2:どんな知識もPMESTが絡んでいる、それを並べる(百科事典の見出しにする)ならパーソナリティを主題に。

効用3:特定のパーソナリティに限らない横断的知識、抽象的概念は一番目立つ場所に

この3つだけでも博物館にある展示物のキュレーションのヒントになるが、今度は個々の展示物を互いに関連付けることを考えよう。そこでもPMESTは役に立つ。

T時間で関連付ければ歴史博物館になる(一つ目のSS。高度と年代を結びつけている)。

S空間で関連付ければ宇宙や深海でまとめたり、東洋と西洋に分けてその文化の違いを比較することができる。

は化学や物理の科学博物館の展示向きだろう。

PとMは全体と部分の関係だから、これはうまくキュレーションすればより包括的な展示になる。(二つ目のSS。地球システムが大気圏、水圏、生物圏、人間圏、地圏の5つのサブシステムからなる)

このようにあるカテゴリーに着目してキュレーションするというのは同じ次元同士で関連付ける場合が多いが、違う次元の間での関連付けも可能である。

まず、文章を書くという行為は基本的に上から下への1次元に配列するので、まずはPTESTで大きく章立てたあと、それぞれの章の中で関連を見つけて知識を構造化しがちである。

ここでホワイトボードやパワポになると関連付けのための空間がタテとヨコの2次元に増える。ただし、漫然とPTESTの違いに無頓着なまま2次元空間上に並べても何も関係を発見することはできない。全体と部分の関係をツリー図にしたり(PとM)、因果関係をフロー図にしたり(E)、二つの着目点で座標軸を設けて分布させたり(例えばSとT)、そういうことによって初めて個々の知識がより高次の知識へとキュレーションされていくのである。

現実世界や仮想空間の博物館の中ではそれが3次元になる。なかでもバーチャル博物館はコスト的にも空間的にも自由度が格段に大きいはずだ。

効用4:PMESTは個々の知識の繋がりを見つけるための座標軸になりうる

このように、PMESTとはこの世の中のあらゆる知識を体系化するためのものであるとともに、さらにそこから出発してより高次の知識へとキュレーションするための座標軸にもなるという。恐るべし、インド哲学!

 

Yan Lauria への返信

Re: バーチャル博物館製作メモ(その13)

- Yan Lauria の投稿

今回は、書き始めてから発見したことがいくつかあった。PMESTを知ったのは40年近く昔だけど、ここでその意味が分かるとは思わなかった。まさにどういうわけか、物事は文章に書くと決着がつく」である。

さて、たぶん残り2回で完結しそう。パネル展示に関すること、それから自然を再現する際の天球、海、鳥、虫の音、潮騒、風による木々のゆらぎなどなど。

Yan Lauria への返信

誤記訂正

- Yan Lauria の投稿

気が付いた誤記を忘れぬうちに。

効用2:どんな知識もPMESTが絡んでいる、それを並べる(百科事典の見出しにする)ならパーソナリティを主題に。

効用2:どんな知識もPMESTが絡んでいる、それを並べる(百科事典の見出しにする)ならパーソナリティを主題に。