質問でもなんでもなくて、SLやJOGでモノづくりをする時、こんな風にすればバーチャル博物館になる、というメモを思い付くままに書こうかと思います。
仮想空間では視野が狭く、方向感覚も悪くなる
実空間での人間の視野って、水平方向で200度あるそうです。それと比べれば、HDモニタを使っていてもたかが知れています。しかも、クリエータ自身はどこに何を作ったかは知っているので、訪問者も分かるだろうという思い込みがあります。
英国オープン大学に仮想空間でのオリエンテーション・ナビゲーションを博士論文のテーマにしていた研究生にさんざんしぼられました。
仮想空間ではこれでもかと思うぐらいに表示や矢印が必要です。テクスチャはなるべく増やしたくないけど、矢印テクスにフロートテキストで案内を表示すれば、いくらでも増やせます。そのために、どんどん使いたくなるようなお気に入りのデザインの矢印テクスを見つけておくことが必要です。
次になかなか思い至らないのは、場所や建物に名前を付けることです。名前がないと案内できないし、マップに表示することもできません。けっこう面倒です。名前なんて作ってるうちにも変わってくるので、とりあえず暫定的な名前をフロートテキストで表示するようにします。
実は視覚障碍者が仮想空間をよく使っているという話をVirtual Abilityのシムオーナーから聞きました。ボイスや音楽などの機能が充実しているからです。その仮想空間で動き回るにはオブジェクトに名前を付けることを忘れてはいけません。つまりオブジェクト名が標識になっているわけです。
それから、仮想空間では方向感覚が悪くなります。順路が一筆書きになるようなシムでも、自分がどう歩いたか、頭の中でマッピングできないと気持ちが悪いものです。通常は、順路が一筆書きになるようにするのは、ずいぶん煩わしいです。
その代わりに、シムの目立つ場所にランドマーク的な建物や地形を作っておけば、それで方角や自分の位置が分かるようになります。なにも順路をきっちり設定しなくても、この地上でどのあたりを見たから、あと見てないのはどこだなということが分かります。
もうひとつは、仮想空間ではどこに到着するか決まっていません。到着ルートを固定するよう設定することは可能ですし、ともすれば固定したい気持ちにもなります。ところが、これは2度目に来た人や、お目当ての場所にピンポイントでテレポートしたい人にはえらい迷惑です。
そういう意味でも、シムのどこに到着しようと、ここに来ればどこに何があるかが分かる、総合案内所みたいな場所を、目立つ場所に設けておくことも必要です。何もアイデアがなければ、シムの中央にそれを設けると、マップテレポートでは(128, 128)に来るということからも好都合です。
ところが、目立つ建物や地形と総合案内場所をシム中央に設けると、それはディズニーランドのシンデレラ城と同じになってしまいます。それではあまりに画一的なので、むしろ行き当たりばったりに作ってきたものを生かしながら、目立つものの配置と総合案内場所の配置を決めるようにします。
(つづく)