だいたい、「天孫降臨」って、おかしくないですか?
ふつう、神様が地上に遣わすとすれば、その子供じゃないですか。世界の神話で孫を遣わしたという話を聞きません。隋に国書を送った倭国王も「天子」を自称しているではないですか。誰から見て孫なのよ?というと、天照大神の孫。どうしてアマテラスが起点なのか、どうして孫なのかという事情は多く議論されているので、ひとつだけ書籍を紹介しておきます。
大山誠一,天孫降臨の夢,2009,日本放送出版協会
参考ページ:読書ノート
その記紀に依っても、アマテラスの孫ニニギより先に地上に降り立った神がいます。イザナギ、イザナミの子、スサノオです。アマテラスの弟にあたります。出雲のあたりに降ってヤマタのオロチを退治したとか。
アマテラスを起点にしても、孫ニニギに先立ち、アマテラスの次男(ニニギの叔父)アメノホヒが出雲に降臨しています。降臨したアメノホヒは大国主に付き従います。
参考ページ:古事記:国譲り - 神奈我良
アメノホヒは、その後の国譲りでは天津神側に付いたらしく、その子孫は現在にも繋がる出雲国造家となり、いま出雲大社の宮司を務めています。(先日、ニニギの子孫にあたる皇室の女性が、ニニギの叔父アメノホヒの子孫である出雲国造家へ嫁いで話題になりましたね。)もともとが天津神側の出自ですから、この国造家の伝承や出雲国風土記も信用しきれません。古代出雲大社は国津神側によって創建されたと、私は想像しているからです。